心室遅延電位(VLP)
心室遅延電位とは?
心筋梗塞などで心筋が傷ついたり、心筋に炎症や変性が起こると、心室内に心室遅延電位という非常に微小な電位が発生する場合があります。この遅延電位は、致死性の心室性不整脈を起こす可能性があると言われています。
心起電力の高周波成分を取り出せる機能を有する高感度心電計でフィルタ処理を行い、多くの心電波形を加算平均することで赤い部分(心電図1)のように記録することができます。
心室遅延電位の臨床的意義
心臓突然死の原因として不整脈は重要です。特に心室性不整脈は心室細動から死に至ることがある危険な不整脈です。心室遅延電位の検出は、不整脈そのものが出現していなくても判断できる点に価値があります。
心室遅延電位(VLP)の計測方法
従来の検査では、フランク誘導から加算平均心電図を作ります。ベクトル心電図をとる場合に使われます。X、Y、Z方向の電位を測定しますので、図(計測位置)のような位置になります。背中にも貼ります。
開業医の先生でも、忙しい診療中に簡単に測定いただけます。
12誘導心電図を測定した後に心室遅延電位を測定しようとして、電極を貼り換えていては大変な時間のロスと手間になります。そこで当社は最適なディスポーザブル電極を用いて、12誘導心電図の電極位置からⅠ誘導、V1、aVFの3つの誘導で加算平均を行い、遅延電位を求めるプログラムを追加しました。もちろんフランク誘導と12誘導の選択もできます。
12誘導からのVLPでは、100秒以上の加算平均で測定することができるようにしました。筋電図や交流障害が強い場合は30秒間での計測をおすすめします。より精度の高い計測結果が得られます。