●12誘導心電図の小型化・モバイル対応等をはじめ、様々なバイタルデータを、地域医療関係者全体で共有化していくことを可能にするクラウドシステムの研究開発を実施。
●高齢化と過疎化が進む地域の在宅介護と医療との効率的な連携体制の実現を目指す。
福井大学医学部では三栄メディシス株式会社の協力のもと、12誘導心電図をクラウドにデータ伝送できる小型軽量で操作が容易なモバイルタイプの仕組みを研究開発した。
在宅患者の検査情報共有、救急搬送時の事前データ伝送のみならず、救急車の入れない狭い場所や山岳遭難、災害時での活用も可能となった。
救急現場でタブレットを用いて心電図検査を行い、救急車で患者が病院に到着するまでに心電図データを共有することで蘇生までの時間が大幅に短縮でき、現在では福井県内だけでなく隣接する石川県、京都府の一部消防本部、病院等においても運用されており、これまでに多くの急性心筋梗塞患者の救命に貢献し、地域の介護、医療現場を支えるシステムとしての定着が着実に進み、2023年5月には累計1万人の救急搬送時の手助けとなった。
三栄メディシスの担当の方とは 15 年以上のお付き合いで大学の研究室で情報交換を繰り返しながら地域に貢献できる「クラウド救急医療連携システム」を完成し、実際の救急現場での運用開始から10年以上経ちました。
三栄さんの心電計を採用したのは、当時の医療用12誘導心電計としては驚異的な小型軽量に加え乾電池駆動で持ち運びができ、しかも市販の端末(タブレットやパソコン)を使って心電図データを簡単に収集する利便性が決めてでした。救急現場では機器をハードに扱うことが多くありますが 2011 年から導入した約 60 台の心電計は一度の故障もなく安心して使えています。
薬機法により心電計は、医療機関向け「特定保守管理医療機器」に該当し保守点検が義務付けられています。病院では定期的に臨床工学技士が実施していますがEMS側では、保守点検や修理・管理に専門的な知識や技能が必要な定期点検を行うことは不可能です。そこで担当の方に相談したところ定期点検を請け負っていただけるようになりました。これによって救急救命士も病院側も心電図を信頼し共有することができ患者さんの安全安心に繋がりました。
クラウドサービスは今後も益々活用が広がっていく時代です。ICT で更に患者様の救命率が向上するには、「クラウド救急医療連携システム」が多くの医療現場に定着することが第一と考えます。
多くの賞を受賞
・2016 年:MCPC award 総務大臣賞
・2017 年:ICT 地域活性化大賞優秀賞
・2020 年:総務省SCOPE研究開発奨励賞
三栄メディシス株式会社、営業を担当しております開発でございます。
福井大学医学部附属病院ER様とは心電計で大変お世話になっております。
福井大学様が多くの賞を受賞されましたこと誠におめでとうございます。
受賞も大変嬉しく思っておりますが、それ以上に患者様の命を救う一助となれましたことにもこの上ない喜びを感じております。
心電図検査を実施するなかで、緊急時は心電計からレポートを印刷し搬送先の病院にFAX送信することがあります。この運用が一般的によく使われますが、福井大学様では救急車からクラウドを利用し搬送先の病院に心電図を送信することで送る側の手間が省け、受ける側の専門医の先生が「速く、正確に」心電図を確認することができます。この時間短縮が救命率向上に大きな効果が出ております。
弊社では、福井大学様が開発されました運用を基に、更に身近なシステムとして開業医様で利用できるよう心電図クラウドビューアの開発に着手いたしました。心電図をブラウザで参照できるメリットはインターネットに繋がっていればどこでも専門医の先生が判読可能なことです。過去の心電図履歴や過去のデータと比較することも容易です。
地域の患者様の健康を守る開業医様で心疾患の救命率向上の手助けとなれば更に患者様にも安心いただけるのではないかと力を集結し完成させました。
最近はクラウド電子カルテを導入される先生が多いと聞きます。
是非、心電図もクラウドの良さを実感いただければ幸いに存じます。